リーガルリリーBa.海の部屋
「長電話」
「もうさ、季節の話なんかしたくないわけ。
はやく本題に入らないと、ラストオーダーになって、終電になって、駅に着いちゃって。あっという間にさよならすることになるんだから。」
「あぁね、わかってるんだけどさあ。なんとなく、つい、癖で。」
去年のこの季節にそんな会話をしたことを思い出しました。
と、私はまた季節の話ばかりしてるわけですが。
先日今季初めて白い息を観測しました。
「おおいよいよこの時期が来たか」と浮かれていたら、昨夜は帰りに買い食いしていたアイスから白い湯気?冷気?がもやもや〜っと出て。あ、そうなるんだ!って初めての気づきがありました。
そういえば、こんなに寒い夜に外でアイスを食べるなんて初めてだったかも。
そんなことを誰かに教えたくなって、アイスブレイクの意味とかではなく、立派な本題として、ついつい季節の話をしちゃうんですね。
飲み会にアディショナルタイムがあったとしたら、20分とかいただけそうな勢いです。
最近は昔よく一緒にいた友達と会っても、年齢のことや将来のことなど、いわゆる年相応な悩みの共有ばかりをしてしまって。別にそれが楽しくないわけでは全くないんだけれど、「だからなに?」というなんでもない話をあまりしなくなった気がします。
「だからなに?」の話をしなくなった代わりに、私たちは食事をよく味わうようになったし、メニューをよく見るようになっていました。
最近では、一度も言葉を交わしたことのない、人によってはどんな顔かすらわからないラジオパーソナリティとの方が対話ができているような気持ちになって、これはいかんぞ、と思いはじめているところです。
単純に共通の話題が減ったからなのか。けど、違う時間を過ごして、共通の話題が減ったからこそ、(これ)をどんな視点で見ているのか、もっと話したかったな。
なんてことをうだうだ考えていると、いつか言われたように、「ラストオーダーになって、終電になって、駅に着いちゃって、あっという間にさよなら」することになるのですが。
そんな中、最新の失敗談やエピソードトークを交えながら話を大展開していく屈強な女たちもいて。彼女たちは本当に、本当に素晴らしいです。大尊敬。
私は物事を面で配置する癖があるので、線で捉えるのがかなり苦手で。エピソードトークや事の経緯を筋立てて伝えるというのが、どうもうまくいかない。それに加えて、そういうものに苦手意識があるので、「なるべく自分で尺をとらないように!」と意識し過ぎて必要な説明を省いてしまったり、しばしば話し下手悪循環に陥ります。
だから上手に話を展開できる人って本当にすごいし、あれはもう特殊能力だよね。
そんな私も、最近は少しずつ意識的に自分の話をするようにしています、、(初歩)
全ては友達と楽しくおしゃべりをするため。
文字におこすとかなり健気ではないですか。
応援したくなりますね。
最近は高橋悠治と坂本龍一の「長電話」を読みました。
長電話ってやっぱりいいな、無料通話なんてものができる時代になってよかったよ。
友達へ、お互い忙しくて会えない時はたまには長電話でもしようじゃない。ラストオーダーも終電もないしさ。季節の話もたくさんさせてくれ。
ではまた。
海 (2025.12.05 更新)
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「長電話」
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「抑揚のない」
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「野良猫みたいに」
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「夏眠終了(希望)」
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「ドウナリ」
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「前夜です」
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「試飲待ちの顔」
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「sea:)」
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「ポリリズム」
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「ぼんやり4月」
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「そんな生活が夢です!」
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「スモークと煙草のにおい」
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「いにしえのiPhone」
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「ポタポタぐつぐつ」
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「眼鏡を探すための眼鏡」
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「ラジオとチクチク」
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「バレンタインとネタバレ」
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「犬とチョコと習慣」
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「7:00 a.m.」
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「模様替え」
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「第二十五回:愛をこめて」
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「第二十四回:skin」
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「第二十三回:初夏、爆ぜる」
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「第二十二回:ばらの花」
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「第二十一回:City Lights」
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「第二十回:たまらない」
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「第十九回:cell」
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「第十八回:生業として」
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「第十七回:何もかも憂鬱な夜にはスープのことばかり考えて暮らした。」
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「第十六回:李の季節」
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「第十五回:整理番号0番、Kの夜」
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「第十四回:雨男のバイブル」
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「第十三回:デロリアンに乗って」
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「第十二回:抱擁」
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「第十一回:金麦、時々黒ラベル」
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「第十回:そして春が終わる」
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「第九回:青色の街、トーキョー」
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「第八回:生活のすべて」
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「第七回:世界の絡繰」
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「第六回:ロマンス、ブルース、ランデブー(雑記)」
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「第五回:キリンの模様」
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「第四回:一切合切」
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「第三回:愛おしい(いと おいしい)時間」
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「第二回:キッチン」
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「第一回:猫と金柑」
