リーガルリリーBa.海の部屋
「野良猫みたいに」
この前久しぶりに整体に行ったんだけど、女性の整体師さんが私の肩を触ったあと、ちょっとため息つきながらものすごい早口の中国語(多分)で何かを言っていました。
それからしばらく隣の整体師さんとカーテン越しに笑い合っていたのですが。
あー、なるほどね、人ってこう言う時に語学を勉強したくなるんだ!って思いました。
意思疎通がしたいというよりも、意思疎通できないだろうと思われている状況で一方的に理解したい、一体何を話しているんだろう、という好奇心がむくむくと。
それからは、この状況言われていたとしたら一番面白い独り言のことばかり考えてしまって。
あとずっと思ってたことなんだけど、
ひとの肩とかをマッサージして、「凝ってるね〜」って言うと絶対ちょっと嬉しそうにするじゃないですか。あれなんなんですかね。
どちらもマイナスな意味そうなのに、美容室で「髪の毛傷んでますね〜!」って言われると悲しくて、整体で「凝ってますね〜!」って言われるとちょっと嬉しい。
「凝ってますね〜」の声が、鼓膜以後から「毎日頑張ってますね〜」に変換されてるのかな。
凝ってる方がお得とかないし、逆に凝ってない段階の方がより効く、まであるのに。
それを言われた時の「えぇ、やっぱりですか?」っていう、あのトーンもすごい好きで。
その反応が愛おしすぎて整体師さんとか鍼灸師さんのYouTube見ちゃうもんね。
あとお互い唸り声とか声かけで高め合ってる感じもいいよね、あれできるって結構大人だと思う。
ちなみに私はまだできません。
最近名前の呼ばれ方について考えることがあって。
生活の中に新しいキャラクターが追加されたときに、「みんなからなんて呼ばれてる?」とか「どんなふうに呼ばれたい?」って会話になることがあると思うんだけど。
私が人から呼ばれているものを改めて整理したときに、別になんでもいいけど、別にどれも違うんだよな〜って思って。
海とか、海ちゃんとか、海さんとか。
「海」が違うって話ではなくてね、好きな名前だし。
なんというか、呼び方が孕む人物像とか関係性がノイズになっていく感じとか、その人と過ごした時間以上の背景まで指されてる感じとか、
「あ、わたしって窮屈に思っていたんだ」って改めて気がつきました。
例えば、実家でおばあちゃんが何年かに一度作る「赤お肉(あかおにく)」っていう料理があるんだけど、それを豚肉のトマト煮込みって言ったら、正しいけど、もうその料理ではなくて。
豚肉のトマト煮込みさんは豚肉のトマト煮込みさんだとしても、おばあちゃんが作ってうちの食卓に並んだら「赤お肉」さんになります!みたいな。
呼び方ってもっと純粋に、その人との関係性によって一緒に作り上げられたらいいのにね。
この授業中で呼び合う名前を決めようって言う世界史の先生が好きだったし、ここで働くときの呼び名を考えたいねって言ってくれた喫茶店のマスターが好き。
大切なことを言うときにはあなたとか君とか呼んでくれる人が好きだし、私を受け入れようとする時に海と呼んでくれる人が好き。
私には好きな猫が2匹いるんだけど、
その猫たちが他の家でなんと呼ばれてようが、どこでどんな悪さしてようが、お母さんだろうがお父さんだろうが、別にどうだっていいね。
私にとっては窓からこっちを覗いてるがんちゃんで、そのへんにごろごろころがってるゴロちゃん。
そんな感じでどうですか。
人々(?)
ああ、そうですか。
最近は「本なら売るほど」という漫画を読みました。私の周りにはなぜか本を読むのが好きな人が多いのでお暇でしたらぜひ。
ではまた。
海 (2025.09.19 更新)
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「野良猫みたいに」
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「第八回:生活のすべて」
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「第七回:世界の絡繰」
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「第六回:ロマンス、ブルース、ランデブー(雑記)」
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「第五回:キリンの模様」
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「第四回:一切合切」
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「第三回:愛おしい(いと おいしい)時間」
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「第二回:キッチン」
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「第一回:猫と金柑」