FAITH

はい！タイトル通り、私たちの現在の等身大を切り取ったアルバムになったと思います。同世代はもちろん、幅広い人に聴いて欲しいと思える作品が出来ました。

このアルバムの制作を経て、自分の音楽の幅も広がって。今回は作りながら実感出来る進化がありましたね。

う～ん、制作をしていく中で、自分の意識が自然と変わっていった感じがあって。“広げようと思って自分から新しい音楽に近づいていって、結果、広がった”が正解かもしれないですね。

俺は“広がった”でしたね。バンドを始めてから、聴く音楽もだんだん変わってきて。自分の中の“カッコいい”もCDを出すたびに変わっていったんですけど。今作はその幅が広くて、少し前とは全然違う音楽を聴いてたから引き出しも増えたし、だからこそこういう振り幅のある曲が出来たんだと思うし。無理して広げたんじゃなくて、自然と広がった気がしています。

俺もドラムパターンとか、最近聴いてる音楽を吸収して、すぐにFAITHの曲に反映していくということが出来て。引き出しが増えた分、曲にあったプレイが自然と出せるようになりました。

「こういうのはどう？」って具体的にメンバー同士で意見出せるようにもなったしね。だから、曲を作っててすごく面白いんです。

すごかったです。バチバチが飛んだり……なんだっけ、あれ？

プラズマ・ディストーション？

そうそう（笑）。レコーディングでは使わなかったけど、スタジオに機材がたくさんあって。そんなすごい環境で楽しくやれたし。あと、どっちかって言うと私は打たれて伸びるタイプなので、レコーディングで色々言われることでもっと頑張ろうって思える部分もあったし。

機材に関しては天国だったよね？

天国だった！ 幸せだったね。

その辺の話を始めると、ただの機材オタクの話になっちゃうんでやめときますけど（笑）。

私はいつも以上に真っ直ぐ歌詞を考えて、歌に向き合えたと思えてて。レコーディングに慣れてきたのもあると思うんですけど、ただ上手く歌うんじゃなくて、「こういう思いでこう歌ってる」って意識しながら歌えたから、気持ちも込められたし。

音源ならではの魅力っていうのは、すごく意識して作りました。

グラム（伊那グラムハウス）の頃はライブバンドをたくさん見て育ってきたから、ライブの勢いをそのまま作品にするってことを一番に思ってて。だけど今回は、一曲一曲を「作品」としてどう作っていくか？ってところをめっちゃ考えて作ったんです。

そうですね。他の新曲もライブでやったら、また違った印象になると思うし。ライブでやるのがすごく楽しみです。

どうだったっけ？ 制作ミーティングとかしたよね？

何回もしたよ（笑）。ミーティングするたびに、みんなの考えが更新されていった感じで。

今回、アルバム曲のレコーディングとしては前半と後半に分かれてて。前半は2018年末から2019年頭にかけて、『Yellow Road』のEPに入ってる「Yellow Road」「CHAMP」を作った時に、「Our State of Mind」「Lonely」が完成していて。

で、その曲がある中で、4月くらいに「アルバムにどんな曲を入れようか？」って話し合って。「今までのFAITHに無いタイプの曲を作ろう」って試行錯誤する時期があったり、「1stだし、ハイテンションに行こうぜ」って「Party All Night」みたいなハッピーな曲が出来たり。レコーディングの後半戦は夏にかけてやりました。

はい。あの旅行は大きかったですね。制作ミーティングの後、ルカの高校の卒業旅行を兼ねて2週間くらいルカの親戚の家に行ってたんです。家で一人で曲作りしてる時より全然アイディアも出てきて。アメリカでジャムってた時のデモが他にもあるんですけど、アルバムに収録してない曲もめっちゃカッコいいです（笑）。

環境もすごい良かったしね。

そうだね。朝起きるとヤジマがキッチンで朝ごはん作ってて、僕俺は寝起きでそのままPC開いてすぐに作業始めたりして。毎日そんな感じだったんで、楽曲制作に集中出来てたし、気持ちも入りやすかったし。

Party All Night」のギターリフがふと思い浮かんで、ジャムった音源をみんなに送って。「19」はちょうどその時ニューヨークにいたAkariが歌詞とメロディの短いフレーズを送ってきて。「ちょっとEDMっぽい曲をバンドで作ろうか」って話し合って、オケを作ってアカリに聴かせて出来ていったんです。

EDMっぽい曲というのは、私が言い出したんですけど。チェーンスモーカーズとかEDMが好きで、特にその頃一番ハマってた時期で。メロディとかすごく素敵でいいなと思ったし、FAITHでやったことないことに挑戦してみたかったんです。

AkariはEDM聴き慣れてたけど、俺らはそうじゃなかったから、俺らの方が挑戦って気持ちが強くて。

俺は一番かけ離れてたし、むしろ聴かず嫌いしてたくらいだったんだけど。「19」を作って、かなり意識が変わりましたね。

「19」って、ゴリゴリのEDMじゃないのが面白いんですよね。ウチらが作ると結局、FAITHっぽくなるっていうか。

そうだね。「ロックで育った俺たちが作ったらどうなるか？」くらいのバランスでやって。色んなパターンを試行錯誤して作ったんですけど、すごくFAITHっぽい曲になりましたね。

私はEDMって“聴こえてくる”もので、普段から買い物好きで洋服屋さんとか行くと当たり前に流れてて急かしてくるイメージだったんだけど（笑）。「19」も洋服屋さんで流れてもおかしくないような、オシャレな雰囲気になって。色んなところから、FAITHの曲が広がっていけば良いなって思ってます。

曲順は結構、考えましたね。

曲調で順番を作って、次に歌詞の内容で順番を作って。それを混ぜていまの曲順になったんですけど。

決まる時はめっちゃ早かったよね？「え、これをこうしてこうして、これでいいんじゃない？」みたいな。

最初が「Party All Night」で、最後が「Caught Up in Time」というのは決まってて。あとはいかに聴いた人を飽きさせないようにするか？って考えて並べてみたら、この順番になったんです。

1stミニアルバム『2×3 BORDER』から一曲入れたいって話になって、自分たちが特に気に入ってた曲を選んで再録しました。『2×3 BORDER』は高校生の時に作った初めての作品で、出来ることならどれも再録したいくらいなんですけど……。

歌詞も書き直したい曲あるもん（笑）。

でも、逆に今だったら思いつかないようなアレンジもあって面白かったりするんです。「September 7th」は、タイトルを変えようか？って話もあったんですけど、元の曲からパワーアップしたって意味で（Updated）を付けました。

私は「September 7th 2.0」ってタイトルを死ぬほど推してたんですけど、誰も受け入れてくれなかった（笑）。

めちゃくちゃ気に入ってるし、お客さんにも好評です。ライブで披露すると「進化したね」ってすごい言われて。Twitterでも「新しい音源に入ってるのかな？」とか呟いてくれてる人がいたり。「入ってるよ！」と内心思いながら見てて、そういう期待に応えられるのも嬉しいです。

「Memory of You」かな？

だよね。レコーディングで演ってて、途中で訳分かんなくなったもん（笑）。

2ビートの曲調ってFAITHにはなくて、これまでも何度か挑戦してたんですけど、どうしても似たような曲になっちゃって。どうやったらFAITHっぽく出来るか？ ってところでいつも悩んで、完成までいかなかったんです。

一度試してみて、「やっぱりやめよう」って断念することも多かったけど、今回は完成しましたね。もはや「2ビート」って仮タイトルで作ってたから、2ビートから逃げられなかった（笑）。

俺とレイ(キャスナー )はポップ・パンクがルーツにあって、意外とスムーズに行けてたよね。

あと「Memory of You」は制作過程が面白くて。楽器隊がスタジオで録ったオケのデータをAkariに渡して別のスタジオで歌メロを録って、両方を合わせてデモにするみたいな作り方だったんですけど。歌と演奏を合わせる時に、歌の位置をワンテンポずれて置いちゃってたんです。

そうそう、合わせてみたら私の認識とノリが違ったんです。

でも、それを聴いて「こっちの方が良くない？」って話になって、違和感のある所をちょっとだけ変えてそのまま使って。

あれ、すごかったよね！ マジで奇跡的だった。

どうだろう？「もう5年か」とも思うけど、「まだ5年しか経ってないんだ」とも思えるし。

だね。

高校3年間は週2～3回会ってただけだけど、卒業してからはほぼ毎日会ってて。家族より会ってるしね。

うん、だからバンドとしてっていうより、いつもつるんでるメンバー、“いつメン”に近いかも。

いつメン、ヤバイね。中学生みたい（笑）。

でも、結成前から顔も名前も知ってるし。そもそもバンドだけのために集まった5人じゃなかったからね。

ハーフ3人は、小さい頃から幼馴染だしね。

バンドって意識はあるけど、兄弟に近いって感覚というか。

そうだね。新ジャンルかも、この関係は（笑）。

もちろん仕事という意識はあるけど、このアルバムを作るようになってから、みんなバンドやFAITHの音楽にしっかり向き合えて、足並み揃うようになってきたのかな？って思うし。今、5人が同じ方向に向かえてると思います。

エンターテイメントとして人前に出るから、バンドのライブではなくて、ショーでありたいというのがメンバーの共通認識としてあって。曲が進化してるからそれに見合ったパフォーマンスをしたいし、見てくれる人が楽しんでくれないと意味がないから、今まで以上にお客さんを楽しませられるツアーにしたいと思ってます。

俺もめちゃくちゃ良い曲が出来たから、ツアーではそれを最高の形で届けたいと思っていて。演奏だけでなく、パフォーマンスでもしっかり魅せていきたいです。

何か特別な演出も出来たらいいね。ライブが始まるまでの時間も楽しんで欲しいし、照明にもこだわりたいし。あとは火とか？

それヤバイね！（笑）

ははははは！

紙吹雪なら、みんなで作れるそうじゃない？（笑）あとはメジャーのバンドとして恥ずかしくないライブをしたいし、見た人を納得させたいという気持ちはあります。一本一本、どこに行っても最高のパフォーマンスを見せます！ぜひライブに来て下さい。

まずは新曲作りですね。

『Capture it』を作った時、デモから完成型にする時の過程で、すごい進化を感じたんです。今作ってる曲は、デモの段階で既に前と変わってきているんですよね。

自分たちが変化し続けてるからこそ、新しい曲が出来ると、またやりたいことが浮かんでくるし。だから、今はその気持ちのままに、どんどん前に進みたいです。

私はその都度、自分の感情を歌詞にして表現していかないと自分の中に溜まっていってしまうし。その瞬間じゃないと書けない歌詞があるってことが分かったので。書ける時に感情をたくさん書き残して、それを新鮮なうちに曲にして出していければ良いなと思ってます。

Interview by フジジュン

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Akari Dritschler
[アカリ ドリチュラー](Vo)

凄く良いアルバムになったと思ってます。「19」のリリックビデオも先行で公開したんですけど、みんなの反応がすごく良くて嬉しいし。中3の弟から突然「新曲いいね」ってLINEが来て、「友達も気に入ってる」って言ってくれてて。中学生の弟にウケたってことは、めっちゃ良いってことじゃない？と思ったら、すごく自信が付きました（笑）。

ホントですか？ 嬉しいです。私はアルバムだと「19」とか「Caught Up in Time」が推し曲で。「Party All Night」がリード曲っていうのは最初は、納得いかなかったんです。この曲は「HAPPY」をテーマに作ったんですけど、ライブでやり始めたら初めて聴くお客さんが一緒にノってくれて、私も歌ってて楽しくて。「あ、この曲いいかも」と思うようになりました。

マジですか？ 男たちは曲を作る段階からの想い入れがあると思うけど、私は歌詞による想い入れが大きいからなぁ。「Caught Up in Time」はめちゃ深いところから引っ張ってきた感情だったし、「19」は今思ってることをストレートに書いた曲で。私が一曲挙げるならやっぱり「Caught Up in Time」かな？ メロディも歌詞もすごく気に入ってて、想い入れも強いし、深いです。

そうですね。恋愛的な目線で書いた歌詞ではあるんですけど、私自身がこれまで男女ですれ違うことが多くて。そんな自分の経験を踏まえて、掘り下げて書くことが出来たんです。

はい。10代最後に作ったアルバムなので、良い節目でもあるし。10代の間で私が感じてたことをちゃんと言葉とメロディで残せたから、すごく良かったと思います。

実際に何も知らないし、下手に分かっちゃっても嫌だなと思うし。19歳って「分かんないから」って言っちゃっていい年なのかも。成人手前でギリギリだとは思うんですけど、「分かんないから、教えて」って言ってもいい時期だと思うから、何でも言えるし。今のうちに吐き出しておかないと、言いたいことも言えなくなっちゃうと思って。

そう、やりたいと思えば何でも出来るんです。ありがたいことに、周りに「大人になれ」って言う人もあまりいないんで、「子供でいさせてくれてるうちに、子供っぽいこと言っちゃえ！」と思って（笑）。この曲は歌詞が先に出来て、その時ニューオリンズにいた男子チームにメロディを付けて、LINEで送って作っていったんですけど。

そうですね。いつもは曲を先に作って、それを聴きながら歌詞を付ける作り方がほとんどなんですけど、「19」はFAITHでやりたかったことを自分からリクエストして表せた曲だから、お気に入りなのかもしれない。

日によります。なにか強く心が動いた時は、携帯のメモにずっと書いてたりするし。落ち込んでるとか、相当嬉しいとか、何かが起こってるとか。言葉にしたい感情を持ってる時しか、歌詞が書けないんです。ただ、ホントに落ちちゃうと、歌詞が全部愚痴になっちゃって、人に聴かせるものじゃなくなっちゃいます（笑）。でも、いまは前と比べてすごい書いてる時期だと思います。

視界はすごく広がった感じはします。思い立って11月に一人で台湾旅行に行ったんですけど。新しい人や景色と出会って、一人で旅をしてきたら、思考の仕方もちょっと変わってきたし。嫌なことも言われないし、ただ楽しく過ごしてればいいって時間だったし、一人でもなんとかやれたから「どうにかなるわ！」って気持ちになれたし。

そうなんですけど、いつまでも卑屈な歌詞を書いてちゃダメだと思って。「歌詞で怒ってばっかりだね」って言われて、そんなことないんだけどなぁと思うんですけど（笑）。普段から溜めこんでると、歌詞に出ちゃうのかもしれないですね。

歌詞は『Yellow Road』のEPからCDのブックレットに和訳を載せるようになったんですけど。和訳を載せることで、同世代の子たちから共感してもらえるってことに気づけたんです。前までは和訳どころか、メンバーに歌詞の意味を伝えるのも恥ずかしかったんですけど。「和訳を載せることを恥ずかしいと思うな」って言われて、「確かに自分の歌詞に自信を持てなきゃダメだな」と思うようになって。今は歌詞のことを聞かれても、気軽に答えられるようになったし。Twitterとかで「この曲、今の私すぎて共感した」と言われると、みんなそうなんだと思って嬉しいんです。

そうなんですよね。共感してもらえることで、私もその人に共感出来るから、聴いてくれる人にも親近感が湧いて嬉しくなっちゃうし。私が自分のことを歌うことで、同世代のお客さんがもっと増えて欲しいなと思ってます。

全く想像してなかったです！歌うのは好きだし、先輩のバンドを見に行くのも好きで、高校3年間の趣味くらいの気持ちでバンドを始めて。それからライブハウスに通っていたら、いつの間にか東京に出ていて、ずっとバンドやってるみたいな感じで。まさか仕事に出来るなんて思わなかったです。

アメリカで芸能関係の仕事がしたいなと漠然と思ってて、「高校卒業したらアメリカ行こう」くらいに軽く考えてたんですけど、行かなくて正解でした。一人でアメリカに行ったところで、やりたいこともハッキリしてなかったし、今のような状況にはならなかったと思うし。

それ最高ですね。行ったら行ったで何かあったかもしれないけど、「そんな計画性の無いこと言ってないで、もっと現実味を持った話をしろ！」って親に言われた理由がよく分かります（笑）。

そうですね。自分たちでも、ここまでメンバーが変わらずやれてるのが凄いなって思います。めっちゃケンカもするけど、解散もしないし、脱退もないし。

はい。地元にハーフのコミュニティみたいなものがあって、レイ(キャスナー )とルカとは親同士も仲良くて、私も小さい頃から知ってて。小学校低学年まではよく会ってたんですけど、私がピアノとか歌とか、演劇とかやり始めてからはあまり会わなくなって。すごい久しぶりに会ったのが中3の時だったかな、確か。私が中学の先輩のバンドを観に行ったら、その先輩がレイのお兄ちゃんと一緒にバンドをやってて。その時レイとルカと久しぶりに会って、そのままファミレスに行って話してたら、バンドの話になったんですよね。レイが「俺、もう歌えないから歌ってよ」って言うから、「うん、やるやる」って。

その後、レイからLINEが来て、「本当にやる？」って言うから、「やるやる」ってグループLINEに入れてもらって。そこに藤子が加わったのが2015年1月5日だから、もうすぐ丸5年になるんですね。凄いなぁ、そこらのカップルより長いですよ！（笑）。

はい。だから、バンドをやるまでロックは全然聴いてなくて。テイラー・スウィフトがずっと好きだったり、洋楽のポップスを聴いたり。あとママがCDを持ってた松田聖子を聴いてました。

小学校の頃はキッズミュージカルをやってて、中学の頃も市民劇団みたいなところでお芝居をやっていて。仲良い友達もいっぱいいたし、そこから演劇の道に進んだ人もいたりして。昔から舞台に立つのが好きで、何かしら表現したかったんだと思います。

バンドが一番長く続いてますからね。私一人のことじゃなくて、5人の意思があって成り立ってるというのが続いてる理由だと思うし、センターで歌ってて、ステージがすごく楽しいっていうのもあるし。ライブで色んなところに行けるのも楽しいし、繋がりがすごく増えるのも楽しいし、面白い人もたくさんいるし。バンドをやってると、他の習い事には無かった新鮮味が常にあって面白いんです。

重要なポジションだと思うし、もちろん頑張らなきゃいけないと思ってます。カッコいいバンドとか見ると刺激受けますね。FAITHの場合はみんな前に出てくるタイプなんで、グイグイ出てきてくれるのは良いんだけど、その中でも私はそれ以上前に出なきゃいけないんだっていうプレッシャーはあります。MCもバンドの意志を私が言葉にして喋るみたいな感じがあるから、そこの責任感も。

私がですか？ やったぁ！ ヤジマも褒めることあるんだ（笑）。かと言って、「マジで無理！」ってことを投げられても困りますけど。そういう信頼があるのは、とても嬉しいです。

頼もしいというか、単純に楽しかったし、新鮮でした。違う学校の人で集まってバンドをやるのも楽しかったし、学校終わりでライブハウスに通うのも楽しかったし。最初、あの3人がそんなに出来るヤツだと思ってなかったんです（笑）。弾けて普通だと思ってたんだけど、よくよく考えた時に「あれ、この人たち上手いのかもしれない」と思って、ちょっと尊敬出来るようになって。

そう。だから、そういうものだと思ってたんですけど。「曲作ろうぜ」って言われた時も「そんな簡単に出来るの？」と思いつつ、私も普段ノートに書き留めていた言葉で歌詞を書いて、みんなで床に座ってギター弾きながら、普通に曲作りして。今考えると、何も知らないところから曲作って、天才なの？って思いますよね（笑）。藤子も高校からベース始めたけど、そんな3人にしっかり付いていってて。藤子は負けず嫌いだし頑張り屋さんだから、ずっと努力してるんです。

テイラー・スウィフトをずっと聴いてたから、最初は聴いてたものの真似から始まって、恋愛メインの歌詞になったりしてたんですけど。最近やっとFAITHらしさが歌詞にも曲にも出てきたかなと思います。

自分はバンドのリーダーではないなと思ってて。ボーカルという役割があるからリーダーは他の人に任せて、歌うことで全体を引っ張る存在になれればいいなと思ってます。ライブも曲も、メンバーに自然と付いてきてもらえるように、グイグイ引っ張っていければいいなって。

そうだと良いなぁ。みんな、ちょっとだけ客観的に自分たちを見ることが出来るようになったのかな？ と思います。東京に住むようになって、見る物や見え方が変わってきたなと思ってて。東京にいると、人も景色も見れば見るほど面白くて。

そうなんです。「人の振り見て我が振り直せ」じゃないですけど、色んな人がいるおかげで「私もこうなりたいな」と思ったり、逆もあったり。自分を客観的に見る力も育つのかなと思って。今まで以上に色んな人と知り合えて、「この人のこういう所、素敵だな」とか憧れられる人にもたくさん出会えてるし。あと、平日でも誰かしら好きな人がライブやってて、それを観て刺激を受けると歌詞を書きたくなるんです。だから、モチベーションも上げやすい環境だと思うし。毎日、新しいことを見つけて、新しいところに行って、新しい会話をしてってところから、もっと新しい歌詞が生まれてくればいいなと思ってて。

そうですね。「Yellow Road」を書いた当時は、すごいホームシックだったんですけど。今は一人暮らしが超楽しいし、変わらず実家は大好きだし。地元に良いニュースを持って帰りたいって思いが出てきました。同じ曲でも歌に込める気持ちはだんだん変化していくのかも知れないですね。そうやって今後、ちょっとずつ変わってく自分からどんな新しい感情が生まれてくるのかは、すごく楽しみです。

人に認められるよりも、自分に認められたいってことに最近気づいて。その上で誰かが私に憧れてくれたら嬉しいし、歌詞でもパフォーマンスでもなんでもいいんですけど、共感してくれる人が増えたらいいなと思っていて。カリスマになりたいです！（笑） でも、なりたいと思うってことは、まだなれてないってことなので。まずは自分自身が100％認められる自分になりたいです。

Interview by フジジュン

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ヤジマレイ(Gt&Vo)

新作が出来るたびに最高を更新してるんですけど、今回は特にいい。最高です！ 自分でも繰り返し聴いています。

そうですね。これまでFAITHでやってきた音楽をさらに良くしようと思ったし、新しいことに挑戦したいという気持ちもあって、EDMの要素を取り入れた「19」みたいな曲も出来たり。今までの集大成＋αって感じで、良いバランスになりました。

「いつかはプロに」という想像はしてました。今の所、まだあんまり実感が無いんですけど。リリースしてから、変わるんですかね？

確かに、それはそうですね。あとは関わってくれる人も増えました。初めての経験をひとつずつしていく中で、実感が湧いていくのかなって。

はい、自信はありました。最初にプロを意識したのは、オーガスタ（今の所属事務所）が声をかけてくれた時で。「もしかして」と思い始めたら、やる気も全然変わってきましたね。「ただ楽しんでるだけじゃダメだ」と思って、ライブと向き合う気持ちも変わっていったと思うし、考えるようになって。

そうですね。ギター弾くの大好きなんで、楽しいのは変わらないですけどね。家でもずっとギター弾いてて、好きな曲をコピーしたり、Youtubeにある伴奏だけの音源に合わせてギターソロを弾いたりしてて。「これがFAITHの曲に上手く繋がればいいな」って心の片隅に置きながら、バキバキのブルースとか弾いてたりします（笑）。

色んなバンドのコピーをしたり、曲を作ったりする中で、「この曲、カッコいいな」と思ったら、「どんなビートでどんな音が鳴っているのか？」って分析するようになって。そこは、聴き方が変わってきたところですね。

なりますね。特にこのアルバムを作ってから、聴く音楽がめっちゃ広がりました。昔は好きじゃなかったジャンルも、良いところが分かるとだんだん好きになっていって。「これをFAITHに反映出来ないかな？」とか考えるようになりました。

今は基本、生活の中心に音楽しかなくて、すごい楽しいんです。地元にいた頃は学校もあったし、現実的に音楽に取れる時間が限られてたけど、今はいつも自然とギターを触っていたりして、それがすごく幸せです。

そうです。小5の時にアコギを買ってもらって、最初はゆずのコピーとかやってました。J-POPを聴きつつ、洋楽もどんどん聴くようになって。家にロックのCDがいっぱいあったんで、親の影響でヴァン・ヘイレンを聴いたら、エレキギターがやりたくなって。中学上がるくらいにギター教室に通い始めてからは、ギターの先生が好きだった90年代のオルタナティブを聴くようになって。ブルースを聴き始めたのもその先生の影響でした。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズですね。あとはニルヴァーナとかオアシス、アークティック・モンキーズも好きだし、90年代のオルタナは今も大好きですね。その辺を聴くようになって、ギターを弾くのがもっと好きになっていきました。

小中とサッカーやってました。サッカー部もちゃんとやってて、部活が終わったらギター教室行って。

無いですね（笑）。高校受験の時にちょっとやったかな？くらいで、勉強は本当にやってこなかったです。あと、中学の時はレイ(キャスナー)とルカ、あと俺の兄ちゃんでFAITHの原型になるバンドをやってて。

そうなんです。レイの兄ちゃんと俺の兄ちゃんが一緒のバンドをやってて、中2の頃には伊那グラムハウスにライブを観に行ったりしてて。その頃、ルカとも知り合ってて、一緒にバンドをやるようになって。オール・タイム・ロウとかニルヴァーナとか、ピアス・ザ・ヴェイルとかコピーしてて。中学の時に2～3回、ライブハウスに出ました。

そう考えると長いですね。ライブは最初から楽しかったし、気持ちよかったし。大人の人がいっぱいいるライブハウスでライブやるっていう優越感もすごかった（笑）。

してなかったですね。俺、FAITHの曲以外に曲を作ったことがないんです。高校の時、たまに弾き語りもやってたし、オリジナルの曲をやってみたい気持ちは今もあるんですけど、作詞が出来ないんですよ。文章力がホント無くて。

自分は今流行ってる音楽とは違う昔の音楽が好きだから、FAITHで曲を作る時に時代に逆行したエッセンスを混ぜられるのは俺かな？ と思ってるし、そういう役割でいたいなと思います。

音色もそれぞれ違うし、俺の方が自然とリードっぽくなってるのかな？と思います。俺はガツンと前面に出たギターが好きで、レイはバッキングで世界感を作っていくのが好きなので。「お互い、そうなっていったらいいよね」っていうのは話してて。

そうですね。意見がぶつかることも多いんですけど、基本仲良いんで。やってみると「それいいじゃん！」って結局、お互い認め合うみたいなところもあって。遠慮せず言いたいこと言い合えるし、良い関係ですね。

「ステージで一番輝く」ってことですね。あとは自己陶酔型なのか分からないんですけど、すごい入り込むタイプで、恥ずかしさがあまり無いんで。「カッコいいだろ、俺！」っていうのを照れずにやろうっていう風にはいつも思ってます。

Akariを食ってやろうといつも思ってます（笑）。Akariの存在はやっぱり大きくて、どんなに僕らが頑張っても、Akariが良くない日は良くないし、調子良い日はすごい良いライブになるんで。

そうですね。Akariが歌うとどんな曲でもFAITHになるんです。

ありますね。ちょっとやりすぎて、「このオケ、メロディ付けにくいんだけど……」って言われることもよくあります（笑）。その時は「頑張ってよ」って言ってやってもらうんですけど、出来上がるとちゃんといい感じになるんですよね。

そうです。そこでちゃんと超えてきてくれますしね。最近はメンバー内でも「言いたいことは言っていこう」ってスタンスになってるので、遠慮なくなんでも言い合うようにしてるんです。前は仲良いからこそってところもあって、みんな遠慮しがちで。言いたいことがあっても言えなくて、それが溜まってケンカになるみたいなことがあったんで。「溜め込んでどこかでぶつかるくらいなら、その場で言い合おうよ」って、みんながちゃんと意見を言い合えるようになったので。前より全然、居心地いいですね。

あ～、それは絶対ありますね。意識は変わったと思います。

あるっちゃありますね。男子チームで「アイツら、あんなことで怒ってるよ。子供だな」みたいなことを言ってる時はあります（笑）。

まぁ、俺が勝手に言ってることなんで、実際どっちが大人なのかは分からないですけどね（笑）。基本的に女子に色々言うのは俺だけで、ルカとレイは平和主義だから、何も言わないかも。

う～ん、難しいけど「Party All Night」ですかね？ あの曲は今年のGWにアメリカのニューオリンズに行った時、何曲か作ったうちの一曲で。自分の中でもリフがすごい気に入ってるし、それがアルバムのリード曲になったのは嬉しいですね。ルカとレイと３人で泊まったところにドラムセットとギターアンプを置いて曲を作ったんです。この曲はとにかくハッピーなグルーヴがヤバくて、「もっとこういうビートで！」みたいな感じでセッションしながらどんどん作っていって。アルバムの曲は全曲好きですけど、この曲には特に想い入れがありますね。

ギタリストとしての夢は、フェンダーと契約することかな？バンドとしてだけでなく、ギタリストとしても有名になりたい。「FAITHのギターと言えば、ヤジマレイ！」みたいな、注目されるギタリストになりたいです。

Interview by フジジュン

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レイ キャスナー(Gt&Vo)

父親がアメリカ人で、母親が日本人です。父親はいまの俺くらいの年齢で日本に来て、そこからずっと日本に住んでいて。感覚的にはほぼ日本人です。

視線を感じる時はありましたけど、不便はないです。地元にいた時は狭い街なので、「コバヤシさん家の子ね」みたいに、みんなが誰の息子か分かるくらいで。

そうですね。地元で外国人の親が集まるコミュニティみたいなのがあって。家族ぐるみでのホームパーティーも頻繁にあったし、誕生日とかは大きい公園に集まってお祝いして、そこでルカやAkariと一緒に遊んでという感じだったので。ルカは物心付く前から知ってたし、小学校の時とかも一番気が合う友達だったんです。毎日ルカの家で遊んで、アメリカのTVショーを見たりして、親が迎えに来てみたいな感じでした。

あんまり覚えてないんですけど、誕生日プレゼントにルカの兄ちゃんがドラムセットを買ってもらって、俺の兄ちゃんはギターを買ってもらってて。兄ちゃんたちの見よう見まねで、小さいころから楽器を触ってたんです。けどそれより前に、「スクール・オブ・ロック」って映画を観て、それを真似するところから始まったんです。

「スクール・オブ・ロック」で子どもたちがステージに立って、ワーッてやってるのに憧れて。ルカとは子供の頃から映画の真似ばっかりしてて、「スター・ウォーズ」の真似したり、「ヤマカシ」って映画で高層ビルを登って金品を奪うシーンを真似て、家の屋根に登ったり（笑）。ずっとそんなことして遊んでたので、最初は音楽が好きでというより、映画の真似から入ったんですけど、気付いたら洋楽にハマってて、好きなバンドが出来て、そのバンドの曲をコピーしてみたいな感じで、ギターを弾くようになってました。

俺はUVERworldとかも聴いてたんですけど、自分でギター弾けそうだったのがオール・タイム・ロウで。それも兄ちゃんたちが演ってたから真似したのが最初なんです。弾いてみたら、ほとんどの曲を弾けるようになって。「バンドでやりたいね」って言ってた時に、ヤジマと会って。ヤジマの兄ちゃんがベースで加わって、バンドを組んで、「ライブハウスでやろうか」って話になって。その頃、ボーカルは俺とヤジマが交代で、ギターを弾きながら歌ってました。

はい。ライブハウスには兄ちゃんたちが出始めた頃から通っていて。最初はライブハウス自体が怖くて、ずっと親と一緒にいたんですけど、伊那グラムハウスの店長・（大澤）良太郎さんに「カッコいいバンドいっぱいいるから、最後まで観ていきなよ」って言われて、ツアーバンドとかも見るようになって。高校受験が終わったくらいからは、毎日のようにグラムにいましたね。高校生の時も毎週末、誰が出るのかも見ないで行って、知らないバンドのライブを観てって感じでした。

そうですね。中学くらいまでは俺とルカと兄ちゃんたちって感じで、よく遊んでたんですけど。兄ちゃんたちが高校行ったら遊んでくれなくなっちゃって、ヤジマと出会ったのもその頃で。高校に入ったら同世代もライブハウスに来るようになって、一緒にやる仲間も出来ました。

はい。最初は兄ちゃんたちの真似だったんですけど、スタジオでどうやって練習してるかまでは見てなかったんで、そこは自分たちで考えて。オリジナル曲を作るのも早かったですね。中学の時、「高校からバンドをちゃんとやり始めよう」と話してて、「そろそろオリジナル作ろうか？」ってなった時もスッと出来た感じはありました。

やってます。ルカの兄ちゃんはアメリカ行って、ニューオリンズでバンドやってて。俺の兄ちゃんはSee You Smileってバンドを東京でやってます。FAITHとも対バンしてて、「負けらんないな！」といつも思ってます。

こんなハマると思ってませんでした。ギターを始めて、家に帰ってからの過ごし方が他の友達と違うというか。ず～っと音楽聴いてたり、楽器を弾いてるようになっちゃって。好きなCDがあって、「この曲のここがヤベェんだよ！」とか友達に話しても、「そんなこと言われても分かんねぇよ」とか言われちゃったり。そこでルカとヤジマは「そうそう！」って理解してくれるから、FAITHのメンバーは特別で。高校くらいからメンバーといる時間が自然と多くなったんです。

中学の頃はポップ・パンクをよく聴いてたんですけど、高校時代はオアシスとかレディオヘッドとか、UKロックが好きで。色んな曲をコピーしてました。あと高3くらいでスケボーにめちゃめちゃハマって、地元の小さいパークでよく遊んでたんです。そこで出来た友達が、みんな90年代のヒップ・ホップを聴いてて。そこからヒップ・ホップも聴くようになって、ビートを繰り返すループ・ミュージックみたいなものも聴いてて心地良いなと思って。最近のFAITHの曲にループっぽい曲が多いのも、その影響があるのかもしれないですね。

それはあると思います。スケートビデオとか見てると、後ろでドラムビートが一定で流れていたりして。俺はビートやドラムが結構好きで、曲を聴いてる時にドラムを聴いてることが多いんですけど、リズム感やグルーヴの面白さはヒップ・ホップから覚えたところがあって。「あのノリをギターでどう出せるのか？」とか考えるんです。

あると思います。みんな、リードを聴きがちなんですけど、バッキングって深いんですよ。「リフを持ってきた方がリード」みたいなところもあるんで、俺の方がリードをやることももちろんあるんですけど。基本的にヤジマがリードで、俺は陰で支えるのがカッコいいなと思っていて。意識的にはリズム隊寄りだと思ってて、ドラムやベースと一緒に土台を作っていく役割なのかな？ と思ってます。

変わってきましたね。曲作りも変わってきて、みんなが曲を全体で見られるようになってきたというか、「曲がこんな感じで、あいつがこうするから、俺はこうしよう」みたいに他の人たちの音も聴けるようになってきたんです。アルバムのレコーディングでも、藤子がベースを録って、「そのフレーズいいね」ってなったら、自分はそこは引いておこうと思ったり。全体が上手く混ざるかを考えるようになりました。

昔はそれぞれがカッコつけたくて、ライブでも各々好きなようにやる感じだったんですけど。対バンしたバンドマンに「FAITHは何やってるか分からないくらい、色々やっててカッコいいね」と言われて、俺はそれが全然褒め言葉に聞こえなくて。そっから、引き算の考えに切り替えるようになったと思うんです。

引き算ですね。「キャッチーなポイントは繰り返せば良くない？」って、イントロとサビのバンド演奏を思い切って一緒にしてみたり。よりシンプルに考えた方が、曲の良さが伝わると思ったんです。

自分たちからすれば、今は今で壁がありますけどね。ただ、バンドの成長はすごく実感しているし、特に最近はそれを実感してて。2ヶ月ぶりとかにライブを見た人に、「すごい良くなったね」とか言ってもらえるのが嬉しいんです。

う～ん、俺はバンドを始めた時点でプロを目指してました。オール・タイム・ロウにハマった時にツアービデオとか見て、「こういう生き方してぇ」と思ったし。高１でFAITHとして初ライブをした時、周りの反応がすごく良くて、「もしかして、一歩前に行けるんじゃない？」とか思ったり。事務所のオーガスタから声をかけてもらった時、「よし、頑張れば行ける！」って強く思いました。

心は全然折れてなかったです。今の自分たちがどれくらいの実力なのか？っていうのを「未確認フェスティバル」で確認しようと思ったら優勝出来なくて、「こんな悔しいことある？」って感じで。むしろ、やってやるって気持ちの方が強くなりましたね。

どうなんだろう？ 自分の好きな音楽を、変わらず楽しく作り続けてるって感覚ですね。なのでプレッシャーというよりは、自分がずっとやりたかったことにここまで近づけてるなら、やれることやるしかないって感じです。何か変わったかと聞かれても、音楽の聴き方が変わったくらいで。最近は「この曲はなんでこういうアレンジになってるんだろう？」とか、作り手の意図を考えて聴くようになったり。「このドラム、どうやって音を作ってるんだろう？」とかも。音源主体の音作りにも色々興味が湧いてきて、また音楽の楽しみ方が広がってきて。「俺、めっちゃ音楽好きじゃん！」と思って（笑）。バンドを始めた時より、全然好きになってると思います。

「Party All Night」は、曲が出来た時のことをめっちゃ覚えてます。GWにルカの親戚の家に俺とヤジマとルカの3人で行って。そこでドラムセットやアンプを持っていってセッションしてたんです。朝起きてギターを触り始めて、ヤジマがパッと弾いたのが「Party All Night」のリフで。そこにみんなでハミングを乗せて、「めっちゃ良いじゃん！どんなタイプの歌も乗っかりそう」って作り進めて。アメリカで生活して、頭が軽くなってる中で自然とラフに出てきたフレーズだったので、すごく印象的です。

そうなんだ（笑）。今のFAITHっぽい曲だと思うし、「これ絶対リードっしょ！」って思いました。きっとライブも盛り上がると思うし、すごく良い曲が出来たと思ってます。

なんだろう……バンドとしてはもちろん、レイ・キャスナーとして認められるセンスと技術を持ったギタリストになりたいです。どこで弾いてもレイ・キャスナーの色が見えるギタリストになれたらいいですね。

Interview by フジジュン

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荒井藤子(Ba)

メジャーアルバムって、実感がまだ無いですね。でも、『Capture it』には違った雰囲気の曲が色々入ってるから、自分で聴いてても、他のバンドには出来ない感じになったなと思うし。今まで以上にFAITHらしさが見えるアルバムになったと思います。

「Memory of You」かな？ 2ビートのリズムの曲をレコーディングしたのが初めてで、特にイントロの部分はめっちゃ頑張りました！ので、聴いてください！（笑）。

そうですね、ベース始めたての頃には考えられないような状況になってます。自分の力もそうだし、「CD作って、全国で発売するなんて」って、今もたまに思います。

全っ然！ 全然想像も付かなかったし、地元がホントに田舎だったし。こんな東京のオフィスでインタビューしてるとか……でも、FAITHのメンバーとここまで来れたのは良かったですね。嬉しい！

あります、ホントにそう。それはもちろんメンズにも思うけど、Akariに対してすごい思います。ガールズ2人だし、言っちゃえば思春期だから、たまにバトることもあったけど。今はもう無いし、すごく良い関係ですね。大人になりました。もう、20歳ですよ！

ヤバい！ いつだっけ？ 2015年とかに東京オリンピックが決まって、超遠い話だと思ってたけど、もうすぐですもんね。感慨深いッスよ。

男メンバーと藤子のお兄ちゃんたち同士がバンドやってて……。

やってました。で、私とレイ(キャスナー)は中学が一緒だから、中3の時に男メンバーがやってたバンドを観に行って、「へ〜英語で歌うんだ」とか思って見てて。最初、ギターがやりたいなと思ってたんだけど、男メンバーが「お兄ちゃんもベースやってるから、ベースは藤子にしよう」って私を誘ってくれて。

そう。で、「お前ベースな」みたいになって、「え？ ギターやりたいんだけど」って思ってたんだけど、ちょうどヤジマのお兄ちゃんも抜けたから、私がベースをやることになって。

う～～ん、あんまり無かったかな？（笑）ベースがどんな音を出して、どんな役割なのかも最初は分かってなくて。最初FAITHはオール・タイム・ロウのコピーから始めたんですけど、全然分かんなかったし。お兄ちゃんも意地悪で教えてくれなかったんですよ！ タブ譜の見方も分からないから、「教えて」って言ったら「分からない」とか言って。仕方ないから、「タブ譜　読み方」って検索して、自分で調べました（笑）。

音楽をちゃんと聴くようになったのも高校に入ってからだし、世界が広がったのはメンバーのおかげですね。Akariは歌が好きだったり、男メンバーはちっちゃい頃から楽器をやってたりして、そういうのがあれば「プロになるぞ！」というのも分かるんですけど。私は超ゼロだったからこそ、今の状況に感極まってます。

いつだろう？でも、最初のライブから楽しかったですよ。最初、「外タレっぽさを出そう」とか言って、ステージの上手でベースを弾いてたんですけど、2～3回やって「転換が面倒臭いからやめよう」って今の位置になって（笑）。高2くらいの時に、ライブをするたびに褒められるようになって、でも私の性格的にそれが信じられなくて。「ウソだよ、下手くそで可愛そうだから言ってるんでしょ？」と思ってました。けど、グラムハウスの店長・良太郎さんが「ベースとドラムがしっかりしてれば、バンドは良くなるから。だから、FAITHはいいんだよ」とか具体的に褒めてくれた時、素直に嬉しくて。信用してる人に褒められて、自分が成長してることを信じられるようになって。その辺からかな？ ベースにより興味が出てきたのは。

練習量は増えたかも。前は聴いてるだけだった曲も、ひたすらコピーしてみたり。高校生の頃は実家の超デカイ窓の前で夜に自分を映して、ピック弾きの見た目を練習してました。だらしなく見えるのがイヤだったから、カッコよく弾きたいと思って。だからか、パフォーマンスを褒められることも多くなって嬉しかったですね。

もちろん「上手いな」って思うことはあるんですけど、慣れてしまったというか（笑）。成長していく過程を一緒に過ごしてきたから、尊敬もしてるし……なんていうんだろ、この気持ちは？ でも、2019年の5月に自分が別のバンドのサポートベースをやる機会があって。「あ、FAITHと全然違うわ！」と思いました。そこで初めてFAITH独自のグルーヴが分かったりして新鮮でした。

すごかったッスよ、ホントに。毎日ラーメン食べてました、ストレスで（笑）。「あ～、今日も食べてやる！」みたいな。でも私の性格的に褒められるよりも「お前はダメだ！」って言われるくらいの方がやる気出るんですよ。打たれ強いタイプ？（笑）。でも、その方が「やってやる！」って気持ちになるんで、ラーメン食べて練習して、またラーメン食べては練習してって感じでやってました。

え～、何それ？ 嬉し～～（笑）。でも、その超頑張ってた頃って、「自分はこういう性格だから頑張れてるんだ」ってことも分かってなかったと思うんです。劣等感すごかったですもん、「悔しいなぁ」ってしょっちゅう思ってたし。

曲作りが本格的に始まってきた時も、私は曲を作れないんですよ。それまではコードとか雰囲気とか聴いて、ベースラインを作るには作ってきたんですけど。イチから曲を作るのってすごいなと思って。

そうですね。一番最初に出した『2×3 BORDER』の時とか何も分からないから、コピーしてた曲から、持ってる引き出しを全部開けてベースラインを作るみたいな感じだったんですけど。上京してレイが音楽の専門学校行ったり、みんなの知識や技術が上がってきたら、「ここにこのベースラインは違う」とか理論的に分かるようになってきて。初期の曲の方がベースライン自体は派手なんですけど、自分勝手な派手さだったことに最近になって、気付いたんです。

そう。引き算の大事さは最近、ホント思うところで。音作りもそうだし、引き算ってすごい重要だと思います。色々分かるようになってきて、やっと楽しくなってきた感じですね。ここ2年くらいは楽しいです。その前はホント、キツかったんですよ！今は20歳になったからお酒呑めますけど、あの頃呑めれば良かったなと思って（笑）。

「Our State of Mind」がいい曲すぎて……ステージに立つ人の歌ですからね。ステージに立つのは、いつでも楽しいです。初ライブくらいの時は「あ～、弾けなかった！」って反省してたけど、「お客さん巻き込めなかったな」とかステージごとに反省点のレベルが変わっていって。そういうことでも自分の成長を感じます。最初はお客さんを巻き込むなんて、考えられなかったですからね。あと最近、母みたいな心境になってきてて。

なんだろう、こうやってFAITHの話をしてると実感するんですけど。メンバーがポロッと言ってくれた言葉に「お前、めっちゃいいやん！」と思ったり、ちょっとしたことでも色々感動しちゃって。

そうそう。あとは歌詞の和訳を読んで、「強い子に育ってくれて……」とか思ったり（笑）。Akariの歌詞って結構、意志の強さが見えるんですけど。それを母みたいな気持ちで見てたりする自分がいるんです。

そう。前は「YouTubeの動画に和訳が出るのもイヤ」とか言ってたし。でも逆に、私は普通に日本に生まれた、普通の日本人だしってところにも葛藤があって。FAITHの曲はもちろん好きだけど、日本語の曲の方がどんなこと歌ってるか分かりやすいじゃないですか？私は日本語の曲の方が気持ちも入れやすいんだけど、Akariにとってはそれが英語だし。色々考えたことがあったけど、振り切りました！

だったら、すごく嬉しいですね。私、めちゃくちゃ悲しいバラードをめっちゃ笑顔で弾いてたことがあって、「お前、なんで笑ってたの？」ってライブハウスの店長に怒られたことあります（笑）。でも、そこで表情やパフォーマンスの大事さも分かって、それだけでも感情が伝わるなと思って。あの時は曲の意味もちゃんと理解してないかもしれなくって。今はそれも理解して弾けてるから楽しいんです、FAITHが。新しいアルバムが出来て、好きな曲がいっぱい増えて、なんか、これからがすごい楽しみになりました。

「Party All Night」、いい曲ですよね！ オケが上がって来た時、「お、めっちゃいい！ アメリカっぽい！FAITHっぽい！」って思いました。「19」もライブでアガりそうだし、「20歳になる2020年のメジャー1stアルバムに入っててとか、タイミングもめっちゃいいですよね。年を重ねていくごとに、感じるものが違いそう。

うんうん。アルバム名にも“いまを切り取って”って意味があるし。

夢？ 目標？ ……あ、今全然関係ないこと思いついちゃったんですけど、言っていいですか？ サカナクションのライブに行きたいです。

え～～？（笑）ベースの草刈（愛美）さんが好きで、すごく頭の中でイメージしたり、分析したりしてるんですよ。でも、実際見たら想像とはまた絶対違うだろうし。ライブ映像見てもすごいんですよね、なんか空間全てを使った演出みたいなライブの作り方が。そういう幻想的なバンドの雰囲気も好きだし、草刈さんも好きだから、2020年はサカナクションを見に行きます。あとはまだ知らないベースの技術を知る！もっとベースを知って、引き出しを増やせるように頑張ります。ライブもそうだし、技術もそうだし、どこに目標を置くべきか？って感じですけど。とにかくやりたいことやって、何かあったらラーメン食べて、また練習して。頑張ります！

Interview by フジジュン

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ルカ メランソン(Dr)

めちゃいいアルバムになりました。こんな多くの曲を録音したのが初めてで、次のステップに進めた気もして。また一歩、目標に向けて踏み出せた感じがします。

そうですね。覚えてないんですけど、レイ(キャスナー)は俺が１歳半くらいの時、友達の誕生日会で会ってるらしくて。親同士が仲良かったので、家族に近い感覚なんです。

俺が兄ちゃんの真似してやってることを、レイも真似したりしてましたね。ドラムは兄ちゃんが中2くらいの時にドラムセットを買ってもらっていて、それを叩かせてもらったのが最初で。俺も小6くらいにドラムセットを買ってもらって、個人練習したり色んな曲をコピーして。レイたちとバンドを始めたんです。

お父さんがニューオリンズの出身で、小さい頃からジェームズ・ブラウンとかファンク系の音楽をよく聴いてて、その影響で昔から踊れる音楽が好きだったので。「この楽器があれば、人を踊らせられるんだ」と思って、ドラムをやりたいと思ったんです。その前にちょっとベースやキーボードもやったんですけど、あんまりピンと来なくて。ドラムを始めてファンクの曲をコピーした時、すごく気持ち良くて「これだ！」と思ったんです。

小中学生の頃は毎日、家でドラムを叩いてて。色んな曲をコピーしたり、動画を見ながら細かいフィルを練習したりしていて、お父さんに「いいね」って言われたのがすごく嬉しかったり。高校の時はフォーク部の部室にドラムがあったんで、よく部室で叩いてたんですけど。まず、家にドラムセットがあって、自由に叩けるって環境がデカかったですね。

家の一階と二階にドラムがあって、同じ時間に別々に練習してるから、家族に「うるさい！」って言われてましたけどね（笑）。あと近所の方と相談して、叩くのは朝11時から夕方６時までって決めてました。

タワレコに行って、オール・タイム・ロウとか、ブリンク182とか、ヒット・ザ・ライツとか、洋楽ポップ・パンク系のCDを買って聴いてました。オール・タイム・ロウはメロディが良いのと、ドラム単体で聴いた時もフレーズが凄い良いところが好きで、全曲コピーして、全曲叩けます。オール・タイム・ロウのドラマーがライアン・ドーソンって人なんですけど。ライアンについて調べたら「ブリンクのトラヴィス・パーカーが好きだ」っていうから、ブリンクを聴いてみて。トラヴィスはヒップ・ホップをドラムセットでやってるような、独自のビートを研究して作っている人で、それも凄いなと思ってコピーしたり。それがFAITHの曲にも反映されていたりして、ライアンとトラヴィスの影響は結構大きいです。

兄ちゃんともドラムについて結構、話したりして。ライバルだと思ってたところもあったんで、「負けたくない」って気持ちもあったんです。兄ちゃんは高校の頃、レイの兄ちゃんとバンドを組んでいて。今はアメリカでバンドをやってて、最近、向こうで音楽業界の人に注目されていたり良い感じになってるらしいです。

音楽の話が一番合う友達で、最初にセッションをしたのが小5くらいだったんですけど。それから、ずっと一緒に音楽やってますね。楽器の話したり、良いバンドを見つけたらお互いで教え合ったり。ずっと変わらない関係です。

はい。ライブハウスにも毎週のように行ってたので、そこで知り合いも増えて。放課後に学校の友達とあまり遊ぶ機会がなくて、ずっとレイやヤジマと一緒にいました。

部活はやってなかったんですけど、小4～5くらいに卓球をやってたり、バスケとかスケボーやスノボが好きだったり。お父さんがスポーツ好きで、ちっちゃい頃から公園でボール投げとかしてたんですけど。ゴルフだったら打ちっぱなしや実際コースに出たり、色んなスポーツを本格的にやらせてくれて。俺も一度やるとハマっちゃうから、どんどん新しいことがやりたくなっちゃって、結構色々やりましたね。スノボは中学の時にシーズン券を買って、平日はナイター行って、土日は昼間から滑ってってくらい、毎日滑ってました。

今より忙しかったかも知れないです（笑）。充実してましたね。

ありました。オール・タイム・ロウを聴いてた時、彼らが所属していたホープレス・レコードから出したいって思ったり、大きいステージでライブがやりたいという夢があったり。今考えたら、フェスに出たいとか、メジャーでアルバム出したいとか、その頃に思ってた夢は、叶えられてるものも増えていて。「未確認フェス」で、新木場コーストでライブやりましたし。冷静に考えたら色んな夢を叶えられてて、感謝してます。

折れなかったです。むしろその時、審査員の蔦谷好位置さんに「いつか一緒にセッションしたい」と言われてものすごい自信になって。あの言葉はマジで忘れないです。あんな大勢の人の前でやるのも初めてだったから、「俺ら、こんなステージで出来るんだ！」と思って自信になったし、もっとバンドやりたいって気持ちが強くなりました。

環境がどんどん変わってる感じで、プロっていう意識自体はあまり実感ないんですが。バンドのことだけじゃなくて、周りのことも考えるようになったのが一番変わったところですかね。あとはレコーディングごとに機材も増えて、サウンドのクオリティも上がってるんで、とにかく楽しくて。レコーディングでドラムセットを並べて、テックさんと相談しながら、自分の好きな音色に寄せていけるのとか本当に幸せです。前のアルバムでは使わなかった新しい楽器を使ったり、初めてのビートに挑戦したり。やれることが増えてるのがすごく嬉しい。

今流行ってる音楽の要素を取り入れるようにしてるんですけど、個人的に好きなのがヒップ・ホップで。ヒップ・ホップの音やドラムパターンを、どうFAITHに混ぜていくか？というのを研究してます。単純にヒップ・ホップのリズムを叩くのが楽しくて、音に合わせて練習したりしているだけで、強く意識はしてないんですけど。そういう新しい要素をFAITHに入れていくのが、僕の役割だと思ってます。

FAITHで新曲を作る時、新しい要素をひとつ取り入れることによって、新しいけどFAITHらしい曲が出来ると思ってて。ヤジマは80～90年代の音楽が好きっていうのが変わらないので、そこから影響を受けたギターリフとどう合わせるか？っていうのをみんなで考えたり。みんなの好きなものを取り入れながら、新しいことを吸収して表現していくのが大事だと思っています。

そうなんです！ AkariのメロディがFAITHらしさを保ってくれるんで、それがあるから楽器隊は遊べるし、本当にそうですね。

う～ん……「Party All Night」かな？ この曲はアメリカに遊びに行ってる時に作ったんですが、アメリカ生活を楽しんでる中で自然と出来てきて、色々工夫する中でどんどんFAITHっぽさが出てきて。レコーディングも楽しかったし、ライブで演っても楽しいし。やっぱりアメリカの思い出も強いんで、それ込みでこの曲ですね。

そうなんですか？（笑）アメリカ、本当に楽しかったですしね。あと、今までもそうなんですけど、リード曲になった曲ってあんまり深く考えずに作った曲が多くて。

海外のフェスに出たいっていうのと、FAITHに限らず言うと、自分はラップが好きなので、ラッパーの後ろでも叩いてみたいって思います。あとは、アメリカだけでなく色んな国でドラムを叩いてテクニックを吸収したいですね。国によってグルーヴも違うし、色んなグルーヴを研究してみたいです。

Interview by フジジュン

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