マイクロン・スタッフについて!! |
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黒人音楽はプリミティブなブルースから流れて来た60年代ものが好きでタムラ・モータウンやその流れで70年代に突入して行くディスコ・サウンド、そしてスティービー・ワンダーあたりまでが僕の趣味範囲だった。プリンスやその後に登場するレニー・クラヴィッツあたりは別として80年代もののファッショナブルでどこか洗練された黒人音楽はどうも苦手だった。そんな中、好きではないけれどどこか気になったのが80年代NYで流行りはじめたラップと呼ばれるものだった。グランド・マスター・フラッシュのスクラッチは衝撃的だったしランDMCの出現はマイナーだったヒップ・ホップを一気にメジャー・シーンへ押し上げた。彼等はエアロスミスの「Walk This Way」をサンプリング、ロック界からも大いに注目を浴びる事となる。そして一気にそのジャンルが確立され、ミュージック・シーンでは突然現れたラップ・ミュージックの起源についてさまざまな諸説があふれた。1920年代のジャイブがその源であるとか、60年代、ロック・シーンに於いてすでにジミー・ヘンドリクスがやっていたとか、はたまたジョン・レノンのGive Peace A Chanceがその始まりだとか。ジミ・ヘンはボソボソ喋るように歌っていたし、レノンは変拍子で躓いて転ぶかのように歌っていたからその言葉のリズムがラップと言えなくもない。だいたいブルースやR&Bは黒人が喋るように歌っている音楽だった。 そして、それを取り入れた白人の代表格はローリング・ストーンズだ。もしかしたらストーンズがロック・シーンに於いて最初にラップを取り入れていたグループと言えるのかも。では、日本人アーティストで意識的にラップを取り入れた最初のアーティストは誰か?たぶん僕は佐野元春氏だと思う。80年代半ばエピック・ソニーの知り合いから「Complication shakedown」のサンプル音源を聴かせてもらった時はショックだった。そしていずれ日本語のラップ・ミュージックってジャンルが現れるのかなって、その時ぼんやりと何年か先の日本の音楽シーンを想像してみた。90年代に入ると日本語をうまくリズムにのっけてラップをやる若者達が増えた。ほんとに転がすように滑らかにビートに日本語をのっけている。うちの山崎まさよしの音楽にもある意味ラッパー的な要素がある。「Fat Mama」や「関係ない」なんて詞ののっけ方はそれに近いし「セロリ」では間奏部分で敢えてラップを披露している。スガシカオの「19才」のたたみかけるようなアフター・ビートなんかもそうだしCOILの「カウンセリング&メインテナンス」なんてのもそのノリに近い。で、昨年、ある事がきっかけで僕はマイクロン・スタッフっていうラップ・グループに出会った。最初彼等を聴いた時、ラップと言うよりロック・グループと言う印象の方が強かった。とにかくバンドとしてのアンサンブルが素晴らしいのだ。で、彼等を観に渋谷のライブ・ハウスに出かけた。ラップ・グループのライブの大半がカラオケやブレイク・ダンス、DJで成り立っている、もちろんこれらはすべてヒップ・ホップの要素であるから当然の事なのだけど、僕にはマイクロン・スタッフがロック・バンドに見えた。そのギター・テクニックもアレンジの音の積み重ねも聴いているうちにひょっとするとこれまでにないラップ?かもしれないと。彼等の音楽は70年 代後半に流行ったクロス・オーバー的な要素もあった。歌になっているパートはメロディアスだし垣間見えるKengoとGejiのギター・リフは実に巧みでそのコード・テンションの響きは計算され尽く している。そしてボトムを支えるMuneyoshiのベースも強力にタイトだ。ボーカル兼ラッパーであるBingoとShigeのLow パートとHigh パートのハーモニー・バランス、どれをとっても彼等がR&B,ロックからフュージョンを中心とし、その他あらゆる音楽に精通しているのがよく判る。で、昨年からずっと暖めていた、いつ彼等を発表するかって。彼等が年明けから取り組んでいた楽曲が春先に仕上がり、僕はミニ・アルバム「25」としてリリースすることを快諾した。屋敷豪太プロデュースによる1曲目の「見る前に跳べ」は石橋をたたいて渡る若者達に着地地点を考えずまずは跳んでみよう、後戻りできない状態に自分を追い込んでこそ道は開け生きる意味がある、そして何十億分の一の可能性で受精した自分の生命の幸運を考えよう、つまりはその命を大切にしよう、というメッセージ・ソングである。続く「デイ・ドリーム・フリーター」はそのタイトルどうりフリーターの憂いを歌ったものである。この曲は1度と6度マイナー・の2コードのリフで進行するこの上なくシンプルだが哀愁感のある曲である。このパターンは古くはチャック・ベリーの「Come on」、そしてローリング・ストーンズの「I'm All Right」なんかで確認できる。彼等がいかに音楽をシンプルに聴かせるか熟知している証拠である。そして残りの3曲、「Pulp Fiction 」「STROBO」「Warning」の持つポップ・センスも是非聴いてみて欲しい。2〜5曲のMIXはCOILの佐藤洋介が担当している。マイクロン・スタッフが新しいオーガスタのジャンルになるかどうかは神のみぞ知るである。僕は常に新しい音楽に挑戦して行きたい。やはり僕はジャンルを超えて音楽が好きだから!!
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