ALL SONGS MUST PASS Office Augusta 20th Anniversary BEST
Liner Notes


アルバム全曲解説より抜粋。
全文は、「ALL SONGS MUST PASS」スペシャルブックレットをお楽しみに!!

楽曲解説 : 森川欣信  インタビュー/文 : 大畑幸子

DISC1 CD


福耳 星のかけらを探しに行こうAgain

もともとは杏子が出した5枚目のソロ・シングルだったのだが、杏子、山崎(まさよし)、スガ (シカオ)の3人にこの曲を歌わせたら、ハーモニーがすごく良くて。僕はこの時に3人で"福耳"というユニットでリリースできたらいいなと思っていた。それが今やオーガスタには欠かせないユニットとして存在している。嬉しい限りである。

杏子 DISTANCIA~この胸の約束~

オフィス オーガスタとしての始まりの1曲目は、杏子のソロ・デビュー曲「DISTANCIA~この胸の約束~」。この曲は、玉置浩二君のオフィスに杏子と訪ねたその日のうちに誕生した。その場で玉置君のアイディアを聞きながら、彼のギターに合わせて杏子も一緒に歌ってセッションし合う中、2~3時間で作り上げた楽曲である。

山崎まさよし One more time,One more chance

山崎まさよしの声はよく"泣きの声"と言われるが、僕は"慟哭の声"だと思っている。押しつけられるような切迫した哀しみ&苦しみがこの曲からは滲み出てくる。僕自身、この曲が山崎のブレークポイントになると確信していたのだが、ご存知の通り、山崎が主演した映画「月とキャベツ」の主題歌として、映画と共にロング・ヒットを記録した。

スガ シカオ 愛について

スガ シカオから僕宛てに送られてきたデモテープの中に、「愛について」と「AFFAIR」(2000年10月12日発売・10thシングル)の2曲が入っていた。とにかく凄くいい声、山崎同様に聴いた事の無い、どこにも無い声だなというのがまず第一印象だった。いわゆるJポップにはない洋楽っぽさを彼の歌と曲に感じたのを覚えている。

COIL BIRDS

僕が彼らの生み出すプロダクツに魅せられた理由のひとつは、まずエンジニアリング。サウンド・メイクの巧みさと音のバランスは僕の好きな洋楽のそれに近かった。この曲で2人にクロス・ハーモニーをやってもらいたくなった。ビートルズみたいなクロス・ハーモニーのアイディアを取り入れることによって、この「BIRDS」は完成したんだよ。

mi-gu ひとりじゃできないから手伝ってください

彼女のドラムには男女の境がない。女性なのに男前。パワーがあるしね。それに何と言ってもプレイする姿がかっこいいんだよ。そのボーダレスな、国境がない感じは彼女の声にも表われていて、この「ひとりじゃできないから手伝ってください」にも、そんな個性が感じられる。どう表現したらいいのだろう…例えるならば、妖精が歌っているような感じ。

元ちとせ ワダツミの木

ポップ・チューンなメロディーと、奄美の島唄を融合させたら面白いのではないかという発想から元ちとせのプロジェクトは始まった。そして生まれたのが、この「ワダツミの木」。 このデビュー曲は、2ヵ月後にシングルチャート1位を獲得し、ロングヒットとなる。結果2002年度の最大のヒット曲になった。まさかあんなに大きな現象になるとは思ってもみなかった。

スキマスイッチ 奏(かなで)

彼らの「奏(かなで)」にはバート・バカラックやリチャード・カーペンター&ジョン・ベティスが書くメロディーに通じるところがある。ここまで泣きたくなるほど情感を持った素晴らしいメロディーはスキマスイッチならではのもの。この曲はロングヒットし、彼らの初期の代表曲となった。これ以降、彼らのメロディー作りは急速に成長する。そして詩の世界も大きく広がる

長澤知之 P.S.S.O.S.

「P.S.S.O.S.」の歌詞に"僕は治りませんでした"とあるのだが、彼の歌はそれでもどこか前向きだったりする。たとえどんな状況下であっても必死で生きようとする姿勢が歌詞に見えるからだ。自分の中にある様々な葛藤と闘って、打破しようとして、先に行こうとしている。だから、言い訳のない歌詞を書くのだと思う。彼の歌には救いがある。

秦 基博 鱗(うろこ)

秦 基博のズバ抜けた声はもはや才能だ。僕は秦のデビュー時に"鋼と硝子で出来た声"というキャッチ・コピーをつけた。ここに収録した「鱗(うろこ)」は、秦の初期の代表曲である。男の決心や覚悟が、強くて繊細な秦の声によって、よりリアルにリスナーに響いているのではないだろうか。

さかいゆう ストーリー

さかい(ゆう)の最大の武器である声、その声は実は鋼鉄のごとく冷たく無機質だ。 今(2012年現在)、さかいのアルバム制作に関わっているのだが、彼の無機質な声からそれだけではない違う面が出て来たことを発見して、物凄い期待を寄せている。無機質で正確無比なサイボーグのような声に感情がついて来た。科学が進歩するように彼の声もまた進化するのだ。

福耳 10 Years After

2002年はオフィス オーガスタ設立10周年を迎えた年。そこで10周年のための歌を作りたいと思い立ち、福耳メンバーである杏子たちに話をしたことから、この曲が生まれた。まず杏子、山崎、スガの3人が集まって何ができるのだろう?ということから、色々な意見が出た。まさにあの3人がスタジオに集まり、寄ってたかって作り上げた、10年目を飾る社歌のような作品。

福耳 SUMMER of LOVE

杏子と山崎がメインとなり、さらにスガ、ちとせ、COILが参加し、この曲を作り上げた。この年のAugusta Campのテーマソングにしようということになり、福耳の3枚目のシングルとしてリリースした。僕はタイトルにもなっている"サマー・オブ・ラヴ"という言葉がずっと以前から好きだった。 "ラヴ&ピース"を見つめ直そうという意味でこの曲を作ることにしたのだ。

福耳 ALL OVER AGAIN

作曲者のM&Gとは、ギタリストの間宮工氏と僕のことである。この曲は最初からみんなで歌えるように、みんながコーラスに参加できるようにということを念頭において作った。この曲は"世界中にテロが起こったけど、僕ら人間には再生していく力がある"ということをテーマにして書いた。これはまさにオーガスタ版「All You Need Is Love」。



DISC2 CD


福耳 惑星タイマー

ものすごく考えられたポップな作品に仕上がっている。言葉の乗せ方には作った人間のリズムがあるから、それぞれ自分の解釈とは違った表現をするのはなかなか大変だったと思う。しかも、繰り返しのたびにハーモニーを変えたりするのがスキマスイッチの色だから、どうやらそこにスキマ以外の福耳のメンバーはストレスを感じていたようだ。しかし、そんなメンバーをよくぞシンタ(常田真太郎)と(大橋)卓弥の2人はうまくまとめてプロデュースしてくれた。

「まなざし☆デイドリーム」

この曲は、アニメの「のだめカンタービレ」のオープニングテーマということもあって、クラシックを彼なりに昇華して作った曲だ。バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を題材にポップに仕上げているのだが、そういうものをサラッとフィーチャーさせるのはまさしく彼のセンスがなせる業。本当に上手い。

秦 基博 アイ

シンプルで当たり前のメッセージ、"愛情は見えないけど、確かに愛は存在する"ということをリスナーに届けさせたのは、楽曲の魅力もさることながら紛れもなく彼の声だと思う。 秦の歌声にはまるで魔法のような力が宿っている。力のある楽曲というのは深くリスナーの心に刺さり、長く愛される。それを証明した作品だと僕は思う。

長澤知之 明日のラストナイト

「明日のラストナイト」は、タイトルが素晴らしい。彼は音楽のみならず、こういうタイトルの付け方からして、そのユーモア・センスに至るまで無意識のうちにビートルズの影響下にいると思う。ロック魂とは生まれながらのものだとするなら、長澤(知之)こそが本当のロックの子だと僕は思っている。何よりも彼は誰にも似てないからね。

スキマスイッチ ガラナ

映画「ラフ」の主題歌となった、8thシングル。映画が水泳界をテーマにした青春ストーリーなので、アッパーな曲作りを意識して制作に入った。この頃からすでに彼らのオリジナリティーあるメロディー・ラインが確立されていた。歌詞も独特のスキマ語をすでに確立していた。そういった歌詞とサウンド感が相俟って、この曲がより疾走感を増した。

元ちとせ あなたがここにいてほしい

この曲を最初にちとせに歌わせた瞬間、本当に心が洗われる美しい曲だと思った。この曲の"不思議ね"という歌い出し、ここを何回ちとせに歌い直させたかわからない。僕はこの"不思議ね"の一発でこの曲のすべてが決まると思っていたから。ちとせも納得がいくまで何回もこの箇所を歌った。僕はこの"不思議ね"を聴くたび、今でも涙が出そうになる。

mi-gu pulling from above

(あらき)ゆうこの作品を聴くと、作品それぞれに彼女が叩く熱っぽいドラムとは違ったクールさがあって、そのギャップが面白い。この「pulling from above」は、ゆうこのアーティストたる部分が発揮されたmi-guの代表作であり、僕の好きな作品のひとつ。音楽は耳で聴くものだけじゃない、脳でとらえるものだってある。そこにポップなアバンギャルドさがある。考えずに感じれば良いのだ。

COIL Loveless

この曲を聴いた時は心底、驚いた。あまりにも良かったので、当時、みんなに聴かせ廻って自慢した覚えがある。スガ シカオはすぐさま気に入って、のちに自分でカヴァーしてしまった。また山崎まさよしもこの曲を聴いて「この曲の切なさっていったいなんだろうね?」と言いながら感動していた。

スガ シカオ 午後のパレード

80'Sのディスコ・サウンド風のこの曲を初めて聴いた時、これがスガ シカオの分岐点になるような、そんな気がした。初期のインナーな感じから意識が外に向いたというか、密室感を抱きつつも視野が外に広がった感じがした。だが、この曲は「午後のパレード」という華やかなタイトルとはうらはらにどこか喪失感溢れるチューンでもある。効果的な演出を見せているストリングスもいいアクセントになっていると思う。

山崎まさよし 晴男

まさに山崎そのものって感じの曲。彼は生まれ持ったアフタービートリズムがある人だから、こういうレゲエ的な曲を演ってもただのお祭り曲(音頭)にはならない。それもこの曲の魅力を際立たせているような気がする。タイトルに関してはなぜそうなったのかわからない。山崎が"晴れ男"だから、「晴男」とつけたのではないかと僕は思っているのだが…。

杏子 イコール ゼロ

サダ(岡本定義)が持ってきたストック曲の中から僕が一目惚れして選んだのが、この曲。2人が作り上げたザラザラしたサウンドと、杏子のハスキーな声がすごくマッチすると思ってセレクトしたのが、その理由である。陰にこもって部屋から出ていけない男女の生々しさを描いた歌詞は、杏子いわく「小説家の宇野千代さんをイメージして書いた」そうだ。

福耳 DANCE BABY DANCE

2008年は、オーガスタにとって"10づくし"の年だった。そこでオーガスタ・キャンプ10周年にふさわしいお祭りソングを作ろうということになり、10 年繋がりのCOILプロデュースによる福耳の新曲が、この「DANCE BABY DANCE」。洋楽のエッセンスを多分に含んだ福耳初のロックチューンだ。まさにカラフルで楽しめる1曲になったと思う。

福耳 夏はこれからだ!

大橋卓弥と秦 基博、そして元ちとせが中心になり、ラップの部分はMICRON' STUFFが担当した、爽快感溢れるポップ・チューンだ。サダが紡ぎだすメロディー・ラインはいつもながら本当に感心する。まさしく音楽作りの職人なのだと思う。サダは遊び心のある曲も書くが、こういった押しつけがましくないメッセージをさりげなく表現するのが実に上手い。

杏子+さだまさよし【岡本定義(COIL)+山崎まさよし】
星のかけらを探しに行こう Again 【2010 Acoustic Ver.】

「星のかけらを探しに行こう Again 【2010 Acoustic Ver.】」は、この年のオーキャンの公式テーマソングとなった。岡本定義がボサノバに凝っていて、この曲をボサノバでアレンジしたいという話になった。ボサノバの持っている空気感やコード感が自分の声に合っていると思い、「星のかけらを探しに行こう Again」で試してみたくなったのかもしれない。

DISC3 DVD


元ちとせ+さだまさよし【岡本定義(COIL)+山崎まさよし】
「やわらかなサイクル」

エコをテーマにしたシンプルな楽曲で、歌詞は"世の中は動き、変化していくが必ずバランスを保っている"ということが綴られている。この曲のレコーディング当時、ちとせが第二子を妊娠中ということもあり、山崎とサダの2人が奄美大島まで出向き、奄美大島のレコーディング・スタジオで歌録りをした。

大橋卓弥(スキマスイッチ)+さかいゆう
ピアノとギターと愛の詩

「スキマスイッチの大橋卓弥とさかいゆうの2人が初めてコラボレーションして作り上げた曲。オフィス オーガスタ所属のアーティストたちが、コラボレートし合うこと、それが僕にとっては "福耳"である。同じ方向性じゃないものがクロスオーバーし合って、新しい音楽を生み出す。そういったことを福耳と言う名義でこれからもやっていきたいと思っている。